宮﨑駿監督の本を検索していたら、27,500円というとんでもない価格の本がヒットしました。
絶版本などに見られる転売価格なのか?と思いきや、現在販売中の現行品で、27,500円も正規価格の定価だというではありませんか!
私の懐具合的には非常に厳しかったのですが、三鷹の森ジブリ美術館の資料本となれば、これはもう買うしかない! というわけで早速購入してみたところ……。
結論から申し上げますと、27,500円はむしろ安すぎると思わせるほどに圧巻の量と質の本でした。
この記事では、宮﨑駿監督が描いたジブリ美術館のすべてが収録されている豪華2冊セット「宮崎駿とジブリ美術館」をご紹介いたします。
ジブリ美術館公式図録、写真集、パンフレットについてはこちらの記事でご紹介しています。

『宮崎駿とジブリ美術館』概要
2001年の三鷹の森ジブリ美術館設立の際に、当時館主だった宮﨑駿監督によって描かれた900点あまりの資料(イメージボード、スケッチ、メモ、原稿など)がオールカラーで収録されている貴重&豪華な2冊セットの本です。

「美術館をつくる」と「企画展示をつくる」の2冊が収められている外箱には、ロボット兵が箔押しされています。

価格:27.500円(税抜)
寸法:縦257ミリ×横350ミリの横長判型(全174ページ+折込2枚)
重さ:3.7Kg

あまりにも重いので重さも測ってみました!


本棚の中で一番大きかったA4判の「THE ART OF 君たちはどう生きるか」と比べてもさらに大きいのがお分かりいただけるでしょうか。



「宮崎駿とジブリ美術館」だけサイズがバグっています。
特製トートバッグ


購入者特典で美術館限定カラーのロボット兵トートバッグがついてきました。
屋上の守神として置きたいと考えて作成されたロボット兵のラフスケッチが使われています。



持ち運びできる大きさの頑丈な作りです!
「美術館をつくる」と「企画展示をつくる」レビュー
「三鷹の森ジブリ美術館」は宮﨑駿監督の構想をもとにつくられました。
宮﨑駿監督が映画をつくる時、頭の中のイメージをスタッフに伝える手段として「イメージボード」と呼ばれるたくさんの絵を描かれています。
ジブリ美術館が建てられることが決まると、映画をつくる時と同じように、「こんな美術館をつくりたい」という思いを込めて数多くのイメージボードが描かれました。
構想から実現までの軌跡「美術館をつくる」と、展示企画のためのアイデアやイラストが余すことなく収録されている「企画展示をつくる」の2冊をそれぞれご紹介いたします。



本書での表記は『宮崎駿』です。現在、公式でのクレジットは「宮﨑駿」となっています。
『美術館をつくる イメージボード、スケッチ集』


目次「美術館をつくる」
・宮崎駿 創作の根底にあったもの
・映画をつくるように美術館をつくる
建物の全体と細部を同時に考える
「アニメーションができるまで」をどう見せるか
置くべきものを考え、舞台をつくる
細部へのこだわりが、全体につながる
試行錯誤を重ねた美術館設計
実現しなかったアイデア
・ジブリ美術館のはじまり
・ジブリ美術館のできるまで、できてから
見世物小屋のような美術館がつくりたかった〈宮崎駿インタビュー〉
かかわってくれた多くの人の尽力で、ジブリ美術館は生まれた
〈鈴木敏夫インタビュー〉
・図版、英訳
内容





3羽の鷹、イノシシ、三鷹の森がデザインされています







イメージボードやスケッチに添えられた解説も読み応えがあります




外観から細部にいたるまで
宮﨑駿監督は、建物の外観だけでなく、トイレ、バックヤード、照明や消化器などの設備、細々とした案内板やカフェのカトラリー、光の取り込み方やなど、ジブリ美術館に必要なありとあらゆるものをイメージボードにまとめあげました。
建築の素人であるはずの宮﨑駿監督がここまで構想を練り上げることができたのは決して偶然ではありません。
・幼少時代から散歩しながら建物を見ていろいろ空想するのが好きだった
・ロケハンでイタリアやイギリスを訪れた際に街並みや建物に感銘を受け、西洋建築の造形に詳しくなった
・スタジオジブリ以前からレイアウトの才能が際立っていた
・数々の名作を生み出した映画監督としての才能
・そして絵を描く才能
宮﨑駿監督が辿ってきた軌跡、感性、思考、才能によってジブリ美術館が築き上げられていることが、ページをめくるたびに伝わってきてきました。
そして忘れてはならない、宮﨑駿監督の無謀とも言える構想を実現させた人々の尽力も、収録されている宮﨑駿監督や鈴木敏夫プロデューサーのインタビューから伺い知ることができます!



ジブリ美術館で体験したり目にするもののほとんどがイメージボードやスケッチとして掲載されていて、眺めているだけでも楽しかったです。
『企画展示をつくる 2001年〜2020年の軌跡』


目次「企画展示をつくる」
・宮崎駿 展示物にかけた想い
・天空の城ラピュタと空想科学の機械達展
・アルプスの少女ハイジ展~その作り手たちの仕事~
・イギリスの友人を紹介します。『アードマン』展
・ 3びきのくま~映画にできないとっておきのおはなし~
・ジブリの森のえいが展―土星座へようこそ―
・「挿絵が僕らにくれたもの」展―通俗文化の源流―
・クルミわり人形とネズミの王さま展~メルヘンのたからもの~
・幽霊塔へようこそ展―通俗文化の王道―
・そのほかの企画展示
・企画展示、資料
・図版、英訳
内容


ジブリ美術館での企画展示は、2020年までの間に宮崎駿監督による発案から13のテーマが制作されました。
今まで開催された企画内容は、「千と千尋の神隠し」「アルプスの少女ハイジ」「クリミわり人形」「幽霊塔」など多岐にわたります。
宮﨑駿監督はそれぞれの展示方法を考え、展示する内容のスケッチや絵をたくさん描かれました。
こうした展示のためにつくられた制作資料がオールカラーで紹介されています。
B5版(雑誌サイズ)の企画展示パンフレットとの比較


2019年の企画展示『手描き、ひらめき、おもいつき』展のパンフレットにも宮﨑駿監督のアイデアやスケッチ、文章が収録されています。
ただしご覧のように「宮崎駿とジブリ美術館」の半分ほどのサイズですので(とはいえB5版の雑誌サイズで十分大きいのですが)、小さな文字や絵の細部が見辛かったです。
「宮崎駿とジブリ美術館」がこのサイズの大きさになったのは、絵の細部まで読者が読み取れるように配慮された結果だと思われます。



『手描き、ひらめき、おもいつき』展のパンフレットはマンマユートで購入できます。お手頃価格の600円!
宮﨑駿監督の圧倒的な知識・好奇心・画力・行動力
13の企画展示と実現しなかった企画展示も含めて、どのページも宮﨑駿監督が企画展示に取り組む熱量に圧倒されてしまいます。
宮﨑駿監督が構想する映画もジブリ美術館も企画展示も、さまざまなプロフェッショナルな方々のサポートがあってこそ実現できたことです。
それは承知の上で、この本の隅々にまで溢れ出る宮﨑駿監督の稀有な才能に感嘆せざるをえません。
展示された当時の状況や雰囲気も伝わってきて、ひとつの企画展示を読み終わるたび、壮大な長編映画を見終わったような気分になりました。
購入時に気をつけること
「宮崎駿とジブリ美術館」を購入する際は、ジブリ美術館のオンラインショップ『マンマユート』での購入を強くおすすめします!
この本を買う少し前に、「君たちはどう生きるか 絵コンテ全集」と「ジ・アート・オブ 君たちはどう生きるか」をそれぞれ別の某量販店のオンラインショップで購入したのですが、2冊とも本の角が凹んだ状態で届いてしまいました。
安くない本だから厳重に梱包がされるだろう……というのは、私の勝手な思い込みでしかありませんでした。
A●●●●●もかなり前から書籍の扱いが酷くなっていますので、大切な本の購入には適さないと思います。
その点、ジブリ美術館のオンラインショップ『マンマユート』は、毎回しっかりと緩衝材で梱包したものが届きますので安心して購入できると思います!



実店舗で直接購入して自分で持ち帰る方法もありますが、3.7Kgの重量がありますのでご注意ください……。
まとめ
この記事では、「宮崎駿とジブリ美術館」の購入レビューをご紹介いたしました。
美術館の構想から完成に至るまで、制作過程で宮﨑駿監督が何をどのように考えて形にしていったのか、イラストやメモ書きをふんだんに使って紹介されています。
ジブリ美術館や宮﨑駿監督より詳しく知りたいという方にに、ぜひともおすすしたい書籍となっています!